リサーチしよう

依頼の内容がしっかりと理解できたら次はまずリサーチです。
ここでは例として、「犬を飼い始めるときに気をつけること」の執筆依頼がきたものとします。

ユーザーをイメージする

何を置いてもまず欠かせないのが「ユーザーをイメージする」こと。
あなたが執筆するその文章が、

必要となるのかを常にイメージしなくてはなりません。
そうすることで、日々世界中から膨大な情報が蓄積されるインターネット上において、初めてあなたの文章は「生きた情報」となります。

やや難しく聞こえるかもしれませんが、日常生活でも当たり前に行う「相手の立場に立って考える」ことと考えてください。

「キーワード」で考える

Webライティングとは切っても切れない関係にあるのが「キーワード」。
多くの場合、ユーザーは「検索」することであなたの文章を見つけ、そうして初めて読んでもらうことができます。
つまり、多くの人に読まれる文章を書くためには検索した時に上位に表示されるのが望ましく、そういった技術を「SEO」と呼びます。

SEOとは?

「SEO」とは「Search Engine Optimization(検索エンジンに向けた最適化)」を指す言葉。
検索エンジンとは、多くの場合にインターネットの入り口として利用される「Google」や「Yahoo!」などのサービスを指します。

これらの検索エンジンは基本的に「検索する人にとって有益な情報や、検索する人が求めている情報を自動的にピックアップしてランキング形式で紹介する」ことを目指したサービスなので、私たち人間がその「検索エンジン」にピックアップされやすい文章を目指すというのは本来の意味から逆転してしまっていると言わざるを得ません。

しかし、現状の検索エンジンでは世界中に10億以上あるWebサイトを、10億人以上いるユーザーひとりひとりに完全に正しくピックアップすることはできておらず、残念なことに「良いものさえ書いていれば自然と上位に表示され、多くの人に見てもらえる」とは言い切れません。

本来の「ライティング」からは外れますが、こと「Webライティング」に置いては多少のSEO知識は必須といえるのではないかと思います。

「SEO」以外の方法は?

昨今のSNSの流行により、文章を読んでもらうのに必ずしも検索エンジンに依存する必要はなくなりました。
例えば、Twitterで多数のフォロワーを集め、あなたの書いた文章をツイートすれば検索エンジンを介すことなく直接文章を届けることができます。
FacebookやYouTube、InstagramやLINEも同様です。

とはいえ、検索エンジンの影響力、特に長期的な部分では依然圧倒的で、決して無視することはできません。

このことから、基本的には検索エンジンでの上位表示を目指して作品(文章)を重ね、そこから少しずつフォロワー(ファン)を増やして検索エンジン依存を脱する、という流れがもっとも理想的ではないでしょうか。

ユーザーが選ぶキーワードは?

では、検索エンジンに的を絞ってキーワードを考えていきましょう。

「検索エンジンで上位表示される」ということは、「ユーザーが検索したキーワードにおいて、もっとも適切な答えを返した文章」である必要があります。

今回の依頼は「犬を飼い始めるときに気をつけること」ですので、もっとも簡単に思いつくキーワードは、

ではないかと思います。
Googleなどで実際に「犬 飼い方」で検索してみてください。

そこで上位に表示されているWebサイトが検索エンジンから見て、現状もっともユーザーに適切な情報です。
つまり、それらよりさらに上位に表示されるには、よりユーザーにとって望ましい文章が望まれます。

実際に上位3つほどWebサイトを見てみて、不足している情報やさらに耳寄りな情報があるようなら、それらを補完する形で自分の執筆をイメージするといいかも知れません。

ただし、文章の転載などの著作権侵害には十分に注意してください。
インターネット上のあらゆる情報は検索エンジンによって補足されているため、ほぼ100%見つかります。
(もちろん見つからなければ良いわけではありません。)

「転載」に当たらない「引用」とは?

「転載」と違い、オリジナルの著作者を明示した上で仮になかったとしても文章として差し支えないものであれば「引用」として認められるケースが多いようです。
インターネット上での「オリジナルの著作者を明示する」ということは多くの場合「リンク(オリジナルのWebサイトをすぐに見に行ける状態にすること)」を指します。

しかし、「オリジナルのWebサイトにリンクする」というのは、SEOを考える上でほぼ「オリジナルのWebサイトに白旗を上げる」ような意味を持ち、これがインターネットでの「転載」が絶えない一因となっているようです。

「リライト」とは?

リライトとは、文字通り「書き直す」こと。
「リライト」自体に問題はありませんが、「自分以外の著者の文章」から分節や語尾を多少変更することで、検索エンジンに見つからないよう「転載」を行う悪質なリライトも存在します。
実際にこれらは見つけることが難しく、例え裁判になったとしても事実関係を証明するのは難しいケースも。

ただし、これに対して検索エンジン最大手のGoogleは2017年に「Webサイト全体の品質そのもの」を評価して上位表示を行う仕組みを導入し、「日本語検索の品質向上にむけて」という声明を発表しました。

今後「転載」や「リライト」のような悪質な手法はどんどん通じなくなります。
ライターとしてのブランディングのためにも、ぜひ自分の言葉で情報を伝えられるようにしましょう。

キーワードを細かくしよう

やや話がそれてしまいましたが、ここまでで

で検索するユーザーに向けて執筆する必要性がわかりました。

しかし、これらのキーワードではすでに上位表示されている有益なWebサイトがあり、後発でこれらを追い越すというのは至難の業です。

そこで、それぞれのキーワードをさらに細分化して間口を広げます。

このように、たくさんのキーワードが発見できました。
すべてを網羅することは難しいですが、間口が広くなればなるほど人を選ばずに読んでもらうことができます。

さらにキーワードを掘り下げよう

キーワードの細分化の次は「潜在顧客」をイメージしましょう。

「潜在顧客」とは、現状では顧客ではないものの、将来的に顧客となる可能性の高いターゲットのこと。
今回のケースでは、

は「犬 飼い方」では検索しないものの、十分「犬の飼い方」の情報が必要になる可能性があります。

例えば「今はまだ犬か猫かで悩んでいる人」の場合は、何かの情報で犬に傾く可能性があり、「一軒家で防犯を考えている人」は番犬の存在を知れば検討の余地があるかも知れません。

これらをキーワードに落とし込むなら、

などでしょうか。
上記は一例ですが、想像力を巡らせればあらゆるところにヒントがあります。

これらを「細分化」していけばさらにキーワードを増やすことができます。

リサーチには終わりも正解もない

これまでのリサーチで、

などのキーワードが見えてきました。

もうお気づきかもしれませんが、リサーチに終わりはありません。
ユーザーひとりひとりが意思を持った人間である以上、絶対の正解もありません。
リサーチでできることはあくまでユーザーを想像して、反響を見て、さらに想像を膨らませることだけです。

同時に、しっかりとリサーチを繰り返せば、世界中のどんな人にでもあなたの文章を届けられる可能性があります。

裏を返せば、誰に見られてもおかしくない。
「『転載』が絶対に見つかってしまう」ことも、お分かりいただけたでしょうか?

しっかりとしたリサーチで、ユーザーに向けて、あなたの言葉で、情報を伝えられるよう頑張りましょう。